昔の友人のこと

 もう疎遠になって久しいが、昔Twitterで仲良くしていた女性がいた。まだ覚えている人もいるかもしれないが、仮にMさんとしておく。Mさんは両班出身で、高麗時代には王族だった家系の生まれだと言い、常日頃よりそうした視点からの世評をTwitterに書いていた。「王族として相応しいふるまい」だとか「日本の皇族評」だとか傍から見ていると他愛ない話ばかりで、太宰の『斜陽』冒頭を彷彿とさせもした。「高貴なスープの飲み方」などというやや滑稽な仕草を実演していたかず子も、確かに没落貴族ではあった。



 その後、韓国を訪れたときに、何人かで初対面のMさんと食事をしたこともあった。が、ケジャン(蟹)など食べることになったせいで、話はまったく盛り上がらなかった。



 さて、Twitterというのは変わり者しかいないわりに、実社会ほどではないとはいえ他の変人には厳しいという不思議な場所である。私の知らないところで疎まれていたのだろうか、そのうちにTwitterをやめてしまわれた。私まで「君は君主制に批判的なのに、彼女に対しては好意的なのはおかしい」と言われる始末であった。



 確かに私は王制(天皇制)には批判的だが、王家に生まれたからという理由で批判などしない。そんなものは門地差別でしかないし、その人にはその人の置かれた立場や背負っているものがあるのだ。

 

 Twitterをやめる前にDMでメールアドレスを送ってくれたのだが、いつのまにか紛失してしまった。私が博士課程に入る頃には東大に留学するという話もあったのだが、どうしているのだろう。ケジャンの時の記念写真は、まだiPadの中に残っている。